★メンタルヘルス問題の理解と対策について

近年、うつ病と診断されて職場を長期休職する人が増えています。うつ病の増加は世界的な傾向であり、WHOは、2020年には全疾患の中で心臓疾患に次いで2番目に多い病気となると予測しています。

 

その他、パニック障害や適応障害など、メンタルヘルス不全を訴える人たちが、特に30歳代の若年層で増えています。過去10年間をみても、精神障害等に関わる労災請求及びその認定件数が年々増加の一途です。


こうしたメンタルヘルス問題には、情報化社会の進展に伴う人間関係の希薄化、生活スタイルの変容、過酷な労働状況、環境ストレスの増大など、さまざまな背景要因が指摘されています。当人の個人的な資質(性格や能力)のみに原因を帰属できません。


したがって、メンタルヘルス問題の解決を考える際には、多面的な視点からの取り組みが必要となります。単一の方法、例えば「医療機関の受診」や「カウンセリング」のみでは、十分な解決が得られないケースが多々あります。

 

 現代のメンタルヘルス不全の多くは、本人ひとりに改善努力を求めることは不当であり、結果も不十分です。家庭でも職場においても、先ずは、周囲の理解と配慮、環境の調整や改善など、周辺的サポートが不可欠なのが実情です。

 

 あえて言えば、「こころの問題」とは、「個人の問題」と捉えるのではなく、その人が所属する「集団(家庭や職場)の潜在的課題(弱点や歪み)」が顕在化したものと理解すべきです。


このような視点から、効果的な解決の第一歩とは、当人ではなく「周囲の関係者のさまざまな努力や工夫から始まる」というのが、メンタルヘルス問題の特質といえます。


(健康創造情報誌「かるーなくらぶ」Vol.27(2009)済生会熊本病院健診センター発行に掲載)