こころとからだの関係(1)

常々、「悩む心」にお付き合いしながら思うのは、「心はからだに表れる」ということ。

表情、仕草、態度、動作、立ち振る舞い、皮膚、語調、呼吸リズム、等々を見ていると、

なんとはなしに、目には見えない心の状態や性格などが感じ取られてくるものです。

言葉の内容とは別に、からだは内面の「心を在りよう」をいろんな形で映し出します。

言葉が語る内容と、からだの表現にギャップが見られることも、しばしばあります。

本人も気づかない「思い」と「感情」の食い違いは、からだに現われやすいものです。

だから、人を理解しようとするとき、言葉の内容だけ聞いていてもダメですね。

じゃあ、からだが何を語っているのか、どうやって理解するのか?

それは、見えているように同様の仕草、動作、姿勢、表情となるよう真似てみることです。

そうして、その時に内面に感じ取られる気分や雰囲気に注目してみることです。

理性的に分析して考えるのではなく、感性的に直感的に感じてみるのです。

言葉で語られる内容を聞き取りつつ、からだで相手の内面を感じ取るのです。

名人芸みたいですが、実は、子供だってやってるトータル・コミュニケーションです。

むしろ、大人になるほど、頭でっかちになって、言葉だけに囚われるのです。

そして、言葉(概念)だけで、相手を(自分を)変えようとします。

だから、うまくいかない。変われない(変えれない)。

変化はからだと共にあります。

変えたければ、からだに変化を起こすことです。

どうも現代人は、「心=頭脳」と思い込んでいるようですね。

オツムの指令だけで心身を統制できると思い上がっている!

もっと、「からだ」に敬意を表することが大事です。

「からだ」の自然を回復できれば、「こころ」も元気になります。

でも、結構、「からだ」のことを見落としているカウンセラーは多いのですよ。

「カウンセリング」とは、西洋から入ってきた理論と方法論。

「心身一如」は、東洋の考え方。

この二つを結びつけ、「心身一如のカウンセリング」を提唱したのが

日本に初めて「カウンセリング」を紹介した故横浜大学教授伊東博先生です。


こころとからだの関係(2)

こころとからだの関係は、紙の「表」と「裏」みたいなものです。

普通、こころはこころ、からだはからだ、と分けて考えています。

そして、「こころ」の事を言うのは、何故か恥ずかしいという思いがあります。

身体の「痛み」は気軽に言えても、心の「辛さ」はちょっと言いにくい感じです。

学校でも、「保健室」は誰でも利用できるけど、「カウンセリングルーム」は閑古鳥です。

周囲も、身体的な問題には親切ですが、精神的な問題は逆に触れないようにします。

どうして、こころの事を避けようとするのでしょうね?

どうも、プライドというか自尊心などが許さないのかな?

かえって、「こころ」に心が囚われて、不自由になっています。

「こころ」は、捉えどころがなくて、扱いが難しいというイメージがあります。

一方、「からだ」は、明確に実在して、操作コントロールしやすい対象です。

そこで、その「からだ」をコントロールすると、容易に「こころ」が変わります。

これ、日常的に経験できる事実なのに、案外と軽視、また見落とされています。

からだの在り方とこころの在り方は、不即不離の関係にあります。

気持ちが落ち込めば、目線は足元に落ち、顔は下向きになり、背中は丸くなります。

逆に、背中を伸ばし、胸を開き、顔を上げ、目線を遠くに拡げると、気持ちは開放されます。

手のひらを上向き~下向き、身体から外向き~内向きと変えるだけでも、気分が変わります。

ところが、そんな単純に変わっては、高級な「こころ」が安っぽくなるとでも思うのか、

現代人は、懸命に難しそうに頭で考えて、「思い」をコントロールしようともがきます。

時に、悲しみや怒りなど、その感情に浸らざる得ないことがあるのも人間です。

ですが、その感情から脱出しなければという必然があれば、それは常に可能です。

からだを動かして、動作や行動のパターンを変えれば、心は変化を始めます。

現代人は、「こころ」をこころ(意識)でコントロールしようとして、悩みを肥大させてます。

ヘビが自分のしっぽを追っかけるのと同じで、堂々巡りの苦しみに陥ってます。

実は、「こころ」が不自然な状態にあるということは、「からだ」も不自然なのです。

「からだ」の状態、行動、動作、姿勢、呼吸など変われば、「こころ」も変わります。

「精神的」と思えることが、身体に染み付いた「癖(くせ)」といえることも多々あります。

であれば、あいまいな精神的な努力よりも、明確な身体的訓練などが効果を上げます。

困難な「心の問題」とみえたことが、身体的な取り組みで解決することは少なくありません。

「こころ」のことを難しく考えすぎて特別視しないことです。

もっと、発想を転換してみましょう。 

人間は、確実に変化する可能性を持ってます。

先ず、からだを動かして、新しい何かを感じてみましょう。

いろいろな、心に効くという「からだ」の使い方レシピがあります。

別項の「ストレス対処法」でいくつかご紹介したいと思います。

お楽しみに!