★ ある中学校の職員室での光景

ふと見ると、職員室の入り口に男子生徒が立っている

手にノートを持って、黙って職員室を覗き込んでいる。

1年部の女性教員が気づいて、「入ってきなさい!」と大きな声を掛けた。

その男子生徒は、女性の教員の机の横までやって来て、うつむいて立っている。

女性教員は生徒の方を見て、じれったそうに「何ですか!」と強い口調で問い掛けた。

男子生徒は何も言わず、ただ両手でノートを胸の前に差し出して立っている。

再び、教員から「それは何ですか!どうしたんですか!」と強く問われるが・・・

返答はない。

 

すると、教員から男子生徒に「なぜ今頃持ってくるの? 提出の期日はいつだっけ?

前から分かってるでしょう? 注意されないと出さないの? 恥ずかしいと思わないの?

中学生にもなって、そんなことでどうするの?」などと、厳しい叱責が続いた。

その間、生徒は黙って下を向いているだけ・・・ 何の応答もしない。

最後の「わかりましたね!」という教員の問い掛けにも・・・ハッキリ応答はない。

そして、教員がノートを取り上げると、その生徒は・・・

結局、最初から最後まで、まったく一言も言葉を発しないまま、職員室を出て行った。

 

この光景を見たとき、当初、この生徒は言葉の出ない緘黙症ではないかと疑った・・・

が、そうではなかった。

 

その後、注意して他の生徒と教員の会話(?)にも耳を傾けてみると、

似たような場面に出会うことが意外と多かった。

 

すなわち、教員の問い掛ける言葉に対して、生徒が言葉できちっと応答することがなく、

教員の言葉だけが一方的に続くといった場面をよく見掛けた。

それはコミュニケーションとは言い難いという印象であった。

教員の意図や思いが、十分に伝達され、理解されているようには見えなかった。

一方、生徒自身には、自分を表現・伝達したいという欲求や意欲、年相応の対人能力や

会話スキル(技術)が欠損している感じであった。

 

そういえば、クラスメートであっても、会話どころか挨拶さえしない

という子どもが最近は少なくない。

家庭でも、朝食抜きや孤食も増えて、親子の会話の貧困化も進んでいる。

心の成長発達にとって、対人的コミュニケーションが重要であることは言うまでもない。

 

とすれば、私たちは、以上のような状況をどう打開していったらいいのでしょうか?

 

皆さんは、どう思われますか?