昨今、どこの職場でも「メンタルヘルス対策」は避けられない重要テーマとなっています。その背景には、過去10年間において、自殺も含めた「心の健康問題」がますます増加・拡大・深刻化してきたこと、さらに、それに対処すべく新たに公布・施行された幾つかの法的施策があります。
先ずは、2006 年3 月に、労働安全衛生法の規定に根拠を置く「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が公表され、これによって「職場における心の健康づくり対策」が、労働者の「自殺予防」をも含めた緊急性の高い経営課題として位置づけられました。
すなわち、もし職場で自殺が起きた場合には、事業主は「安全配慮(健康配慮)義務違反」という法的責任(損害賠償等)が問われる可能性が高まってきました。
更に、2006 年4 月には改正労働安全衛生法が施行されました。それによると、会社は、健康管理措置の実施義務の一つとして、月100時間を超える時間外・休日労働を行った労働者に対し、医師の面接指導を行わなければならないと規定されました。
このように事業主には、従来から行われていた「労働者自らが健康問題に気づく対策(セルフケア)」を支援することに加えて、「労務管理を通じての予防的対策(ラインケア)」の仕組づくりやその具体的実践などについて、積極的な取り組みが法的に課せられる状況となっています。
ただし、職場対策の実践にあたっては、多面的な視点が必要となることから、対策の全体像を把握するとともに、職場の現状分析により優先的な課題を明らかにするなど、事前協議や準備を徹底して計画的・段階的に取り組むことが求められます。 これらに関しては、上記の各項目もご参照下さい。